介護・福祉専門職員のベトナム派遣プロジェクト
  
プロジェクトの背景
   
 日本は今、少子化高齢化社会、労働力減少社会を迎え、慢性的な労働者不足の状況にあります。
 とりわけ、社会福祉や介護業界の人材不足は深刻で、人員確保難が原因で介護をはじめとした福祉サービスの提供が思うように進まない状況にあります。 
   
2015年の日本の人口(現在) 2055年の日本の人口(40年後)
  
 
 また、介護・福祉業界における人材不足の原因は、人口構造の問題だけではなく、他業種と比較して労働条件が良くないと言われており、若い世代にとっては、介護や福祉の仕事が専門職として認識されにくく、その価値も正当に評価されず、夢を持ちにくいといったイメージが影響している可能性があります。
 一方でわが国では、昭和62年の社会福祉士及び介護福祉士法の施行以降、介護・福祉事業従事者の専門職化が進み、その専門性は国際的に見ても高い水準となってきています。
 
プロジェクトの趣旨・目的
 
 このプロジェクトは、介護・福祉従事者を海外の介護・福祉施設や看護学校に派遣して、専門知識や理念を伝える介護・福祉専門職員の海外派遣プログラムを実施することで介護・福祉従事者が夢をもって仕事に従事できる環境を作り出し、介護・福祉人材の確保や定着を図ることを目的としています。
 
【このプロジェクトで期待できる効果】
 
他法人、他業種の職員が準備段階から参画することで、それぞれが持つ技術やノウハウを共有することができ、さらなる専門性の向上が期待できます。
海外派遣に参加することで自らが仕事の意義や課題を再認識させるきっかけとなり、仕事に対するモチベーション向上が期待できます。
事業所を超えた連携・協働が促進されることで、事業所の課題解決能力や危機対応力の向上が期待できます。
派遣先の福祉従事者や看護学校の学生が、日本の介護・福祉の専門知識を学ぶことができ。高い技術の習得に繋がります。
将来の高い技術を持った外国人労働者が日本に来てくれるきっかけとなることが期待できます。
プロジェクトを通した交流を通じ、お互いの文化や考え方を交換し、国際理解を深めることで、外国人技能実習制度やEPAを通した外国人受け入れが円滑に行われることが期待できます。
  
これまでの経緯と今後の計画
 
 このプロジェクトについては、上記趣旨・目的に賛同する社会福祉施設の経営者や職員が、約2年間にわたる検討と現地看護学校・施設等との調整を行ってきました。
 そして、本年6月1日から、ベトナムのホーチミン市にあるタット・タン(NGUTNTATTHANH)看護大学とビン・ミー(BYNHMY)老人ホームに13名の介護関係専門職員等が赴き、食事、排泄、ボディメカニクス、認知症介護等に関する講義及び実技を実施しました。
 この第1回派遣は、ベトナム側関係者に対して、介護には専門性が必要であるとの認識を持ってもらうための基礎的な授業を行ったものですが、学生及び専門職員のいずれからも高い評価を受け、成功裡に終了する事が出来、今後も継続を望む声が多くありました。
 さらに、ベトナムの他の地域の看護学校や施設からも同様の派遣を望む声が出てきており、今後、プロジェクトは拡大していく予定です。
 具体的には、平成28年7月より第2回の派遣希望法人(個人)を募集し、同年10月を目途に第2回目の派遣を実施する予定です。
 第2回目の派遣は、ホーチミン市の看護学校等に加え、ビンディン省にある看護短期大学においても講義・実習を行う予定です。
 その後は、派遣を希望するベトナム側の看護大学等と調整を行い、大学の付随的なカリキュラムとして、定期的な講義・実習を実施していきます。
 さらに、ベトナム側の希望があれば、看護学生の一部を日本に招いて、日本の施設等において実務研修を行うことも検討していきます。
 
第1回の海外派遣プロジェクト(平成28年6月1日〜5日) ベトナム ホーチミン市
【ビン・ミー(BYNHMY)老人ホーム】
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【タット・タン(NGUTNTATTHANH)看護大学】
 
【孤児院訪問】
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